アンペグのキャビが故障しました。アンペグといえばベーシストでなくてもみんな知っているメーカーですね。リハーサルスタジオやライブハウスそしてプロのベーシストでも愛用するアンペグのベースアンプですが、今回はSVT-810Eのスピーカーキャビネットです。
SVT-810E
言わずと知れたこのルックスです。8発のキャビネットでは定番中の定番です。故障も少ないので愛用していたのですが、ついに壊れてしまいました。
症状
音が下の4発しか出ていない。つなぐところを変えると上の4発しかならなくなる。
スピーカーユニットは飛んでいない全部なっている。通常テスターで計測すると4Ωになるはずなのに8Ωの表示がでる。
バックパネルを開ける
アンペグのキャビネットの後ろ側にこのようなプレートがあるのでその周りの8個のビスを外します。ビスを外すだけではおそらく取れないので、マイナスドライバーを使用してこじります。車のインパネを外す感覚ですね。取り外してもすぐに引っ張ってはいけませんよ。ケーブルが接続されているため断線する危険性があります。ゆっくりと外しましょう。
基盤の状態を確認する
先ほどのバックパネルをひっくり返すとこんな感じで基盤が出てきます。非常に状態はいいと思います。何台もアンプを開けてきたので、感覚が麻痺しているのかこれはめちゃくちゃキレイな部類です。基盤の状態は良好なので、他の原因を探ります。
テスターで導通チェック
ジャックは挿さっていない時は中のピン同士接触しているものがあります。ケーブルが繋がってない時でも信号を通す役割になっています。
テスターを持っていない人はアンプなどを自分でチェックする時やシールドの断線などもチェックできるので、かならず1台もっておきましょう。
テスターは全然安いもので問題ないです。導通チェックができれば特に他の機能は使うことはないでしょう。もっと深くまで探りたいのであればテストできる機能が豊富なものをえらんでもいいかもしれませんが、今回の修理では全然使いません。今回はΩと導通の機能だけ使用しました。できれば導通のチェックで音が鳴るものが好ましいです。(逆に音が鳴らないものを見たことがない)
ジャックが故障
テスターでチェックした結果1番上のジャックのピンが接触不良を起こしていました。ジャックは金属のため何度も抜き差しすることにより元の状態よりゆるゆるになってしまいます。手元に同じ部品がなかったので、ジャックのピンをラジオペンチで接触するように少し曲げます。曲げ具合はテスターで導通するか確認しながら慎重に行います。
ピントが全然合わなくてうまく写真を撮れなかったのですが、中のこのピンです。いやー小物の写真むずいっす。
ピンを曲げる時はジャックは一旦外さなければいけないので、ハンダゴテとハンダ吸い取り線でハンダを溶かして外しましょう。間違っても無理やり引っ張らないでください。基盤が割れてしまいます。
私はこの学校で使うハンダゴテに慣れているので、これを使用していますが今のところ不満はありません。
ピンを曲げて導通を確認したら、音出しで実際に音が出ているか確認します。いちいちアンプに接続して音出すのが面倒だったので、9ボルト電池で「ボツボツ」音を出します。画像のようにフォンプラグのチップとスリーブに電池のプラスとマイナスを接触させるだけです。
ネットも外して音出し確認
各ユニットが正常に動作しているか確認するためにも表側のネットを外して確認します。アンペグのキャビネットのネットはビスなどでは止まっていなく強力なマジックテープで止まっています。マイナスドライバーで傷つけないようにこじります。すると「バコンッ!」という豪快な音と共に外れます。結構ぶっ壊れそうな勢いなので心配な方は諦めましょう。
ユニットが全部同じ動きをするのか確認します。前に出てくるはずなのに後ろに下がるユニットがないかなどを確認しましょう。
全て問題なければ閉じて完了です。4発全て鳴らなくなる原因がたった一個のジャックだったなんてこんなに大きなものでも中身は繊細なんですね。
一つ勉強になりました。
こんな大きなキャビネットは個人で所有している人は少ないかもしれないのであんまり参考にならないかもしれませんが、ジャックのピンの浮きは他のアンプにも言えることなので覚えておくと他で「そういえばジャックのピンは浮いてないかな?」などとトラブルシューティングしていけます。修理においては経験という引き出しの多さで解決までのスピードが変わります。
例をあげますとマーシャルのJCM900やJVM210,JVM410やJCM2000などのセンドリターンを搭載しているアンプのジャックはピンが浮きやすいです。これが浮くと症状としては音が途切れたりもしくは音量が不安定になったりします。なぜかマーシャルのジャックは弱いです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。